「残業代が未払いとなっており、納得がいかない。どうすればいい?」
「請求方法を学び、残業代を支払ってもらえるように交渉したい」

本来正しく支払われるべき残業代が未払いとなっている場合には、一体どんな解決方法が考えられるでしょうか。残業代の未払いは法令違反ですが、慢性的に未払いの状態である企業では、泣き寝入りしている労働者も少なくありません。

そこで、本記事では「残業代を請求する方法」に焦点を当てながら、請求するタイミングも合わせて解説します。未払い残業代を請求したい方は、ぜひご一読ください。

未払い残業代を請求する方法

企業が残業代を支払ってくれない場合、一体どんな方法で請求ができるでしょうか。主な方法は以下の3つです。

方法1 ご自身で企業に交渉する

残業代の未払いは、ご自身で企業側に交渉できます。直接上司などに交渉する方法も考えられますが、正しい残業代を請求するためには、ただ口頭で「支払ってほしい」と伝えるのではなく、以下の手順を踏むことが一般的です。

・通知書の作成および送付
・未払い残業代の正しい計算
・企業への交渉

未払い残業代を企業に支払ってもらうためには、残業代の計算を正しく行い、通知書を作成する必要もあります。交渉が決裂した場合は、ご自身で労働審判を申し立てる方法も考えられます。

方法2 労働基準監督署に相談する

残業代の悩みは、労働基準監督署へ相談する方法もあります。労働基準監督署は厚生労働省の出先機関の1つであり、労働基準法や労働安全衛生法に基づいて企業への是正勧告などを行っています。未払い残業代に関する相談にも対応しており、残業代の計算方法や請求方法をアドバイスしてくれます。

しかし、労働基準監督署への相談は簡単なアドバイスのみで終わってしまうケースも多く、必ずしも企業側に是正勧告を行ってくれるわけではありません。ただ、行政機関に無料で相談できるという点はメリットではあります。

方法3 弁護士に相談する

未払いの残業代については、弁護士に相談することもできます。交渉から労働審判、訴訟に至るまで代理人として対応してくれるため、労働者側の負担が少ない相談先です。難解な残業代の計算についても依頼できます。

弁護士へ残業代請求や交渉を依頼する場合、報酬を支払う必要がありますが、完全成功報酬型の場合は企業から回収できた残業代の中から支払うことが可能です。

正しい残業代請求のためには、専門家のサポートが必要

残業代請求の方法には以上の3つが考えられますが、適切に交渉を行うためには残業代を正しく計算する必要があります。未払い期間が長い場合には、時効で請求できない金額もあるため注意が必要です。
ご自身で行おうとすると、回収の失敗や、企業側とトラブルになる可能性もあります。労働基準監督署や弁護士など、専門家にサポートしてもらうようにしましょう。

残業代請求の流れ

では、実際に残業代請求を行う場合には、どのような流れで進むでしょうか。この章では残業代請求を6つのステップに分けて詳しく解説します。

手順1 証拠を集める

未払い残業代を請求するためには、「証拠」が必要です。残業代を証明するためには、以下のような証拠があると未払いの証明につながります。

・求人票や雇用契約書、就業規則など、労働条件がわかるもの
・残業をしていたことがわかるメールや業務日報、業務報告のチャット、会話の録音など
・タイムカードやパソコンのログアウト時間、企業や上司へのメールの送信記録

こうした勤務の実態が分かる証拠があると、企業側への交渉がスムーズになります。タイムカード等が見つからない場合、家族に帰宅連絡を行っているLINEなどの記録も有効です。

また、残業の証拠がないからといって、残業代の請求を諦める必要はありません。証拠がない場合でも請求できるケースは多くありますので、ご不安な場合は弁護士にご相談ください。

証拠がない場合は、こちらが参考になりますので、ぜひご覧ください。
「残業代を請求したいけど証拠がない場合の対処法|証拠になるものを詳しく解説」

手順2 未払い残業代の計算

証拠を踏まえて、未払い残業代の計算を行います。未払い賃金の計算は、割増賃金も踏まえて算出します。
割増率は法定時間外なら1.25倍、法定休日なら1.35倍など細かく設定されています。

残業代の計算方法については、こちらで詳しく解説しています。
「残業代の計算方法を分かりやすく解説(具体例付き)」

手順3 交渉

残業代の計算を終えたら、企業側へ交渉を開始します。直接伝える方法もありますが、通知書による交渉開始が一般的です。
通知書には、内容証明郵便を使います。内容証明郵便には時効を一時的に止める効果があり、残業代請求時にも適用できます。

内容証明郵便については、こちらで詳しく解説しています。
「残業代請求に必要な内容証明郵便とは?書き方を解説(記載例付き)」

手順4 労働基準監督署への申告

次に労働基準監督署へ申告を行います。労働基準監督署は申告を受けると、会社の調査を行います。調査の結果、残業代の未払いなどの違法行為が発覚すれば、会社側に是正勧告や指導を行います。

しかし、労働基準監督署が行う是正勧告や指導には法的な強制力はありません。あくまでも自主的な是正を促すものです。ただし、是正勧告などを無視し続ければ、刑事罰に処される可能性もあるため、労働基準監督署の指示に従う可能性はゼロではありません。

また、未払いの残業代を請求する際には、必ずしも労働基準監督署への申告が必要なわけでははありません。残業代の未払いという問題を早期に解決したいのであれば、労働基準監督署への申告は行わず、弁護士へ相談し、交渉、労働審判や訴訟に進むという考え方もあります。

労働基準監督署については、こちらで詳しく解説しています。
「労働基準監督署とは?相談できることとは…」

手順5 労働審判

企業側との交渉が決裂した場合には、労働審判を行うことも検討しましょう。裁判所に労働問題の解決を求めるもので、一般的な訴訟よりも期間が短いという特徴があります。なお、労働審判は行わず、訴訟を起こすことも可能です。

手順6 訴訟

残業代請求のためのより効果的な手段としては、訴訟が考えられます。労働審判を経ても解決しない場合や、企業側が強硬な姿勢を見せている場合には、訴訟での解決を目指すことも考えられるでしょう。

残業代請求に必要な証拠

残業代請求に必要な証拠を集めるためには、どういった工夫が必要でしょうか。残業代を正しく請求するためには「どのぐらいの未払い残業代があるのか」正しく計算を行う必要があります。

このぐらい残業をしていた、と主張をするためには残業していた「時間」について立証する必要があります。そのため、労働時間が分かるタイムカードや、パソコンのログアウトの記録などが有効となります。

タイムカードなど、企業から記録を持ち出すことが難しい場合は、以下のような記録も出退勤の時間の証明に役立ちます。
・通勤に使っているICカードの記録
・帰宅時に使用したタクシーの領収書
・会社のPCから社外に送ったメール
・職場がある建物への入退館記録

この他にも役立ってくれる証拠は多数あります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
「残業の証拠を残すにはどうすればいいのか」

また、職場にタイムカードがなく、勤怠管理がなされていない場合は、こちらもご覧ください。
「タイムカードがない会社で残業代を請求する方法|違法性、代わりになる証拠を解説」

残業代請求するタイミング

残業代を企業側へ請求するにあたっては、どのようなタイミングで行うべきでしょうか。

時効にならないように、早期に請求を開始する

残業代の請求には時効があることをご存じでしょうか。残業代請求の時効は「3年」です。企業に対して請求するためには、時効で請求できなくなる前に、早期に請求を開始することがおすすめです。内容証明郵便を使って消滅時効をストップさせ、早急に交渉に移行しましょう。

在職中に準備を進める

残業代を請求する場合、証拠を確保するためにも在職中から請求の準備を始めることがおすすめです。退職後に請求しようとされる方が多いですが、在職中であっても残業代を請求することは可能です。

・在職中に残業代請求をするメリット・デメリット
在職中に請求する場合、証拠が得やすいというメリットがあります。一方で、これまでサービス残業を強要してきた企業側に反論され、会社に居ずらくなるリスクも考えられ、デメリットが無いわけではありません。

・退職後に残業代請求をするメリット・デメリット
退職後に残業代を請求する場合、上司などの顔色をうかがわずに企業側と交渉できるというメリットがあります。一方で、欲しい証拠が退職後のため手に入れにくくなったり、破棄されてしまったりするデメリットがあります。
退職後に残業代請求を行う場合でも、在職中に準備すべきことがある場合もありますので、できれば在職中から弁護士にご相談なさるのがよいと思います。

まとめ

この記事では、未払いの残業代を請求する方法や、流れについて詳しく解説しました。残業代請求を成功させるためには、時効を迎えないように早くから請求に臨むことがおすすめです。

監修弁護士

勝浦 敦嗣(かつうら あつし)
執筆者:勝浦 敦嗣(かつうら あつし)
所属:第二東京弁護士会所属
-監修コメント-
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