現在、未払いとなっている残業代がある場合には、どこに相談をしたらいいでしょうか。
本来残業代は適切に支払われるべきものであり、未払いとなっている場合には請求が可能です。
そこで、今回の記事では「未払い残業代の相談先」に焦点を当てます。ぜひご一読ください。
残業代がもらえていない場合の相談先
残業代が支払われていない場合、一人で悩むのではなく専門機関や専門家へ相談することがおすすめです。この章では6つの相談先を紹介します。
1 労働基準監督署
労働基準監督署は、労働に関するさまざまな相談に対応している国の機関です。未払い残業代の相談にも対応してくれるほか、パワハラや嫌がらせなどについても無料で相談することが可能です。労働基準監督署は全国にありますが、相談する場合は、会社の所在地を管轄する労働基準監督署に相談するといいでしょう。
相談内容によっては、会社への調査を行ったり、是正勧告を行ったりしてくれますが、すぐに対応してくれるとは限らず、あなたの残業代を回収するために動いてくれるわけではないという点に注意が必要です。
2 弁護士
未払い残業代については、弁護士へのご相談がおすすめです。労働基準監督署は先に触れたように、すべての相談に対して必ず調査を実施してくれるわけではありません。また、未払い残業代の回収に向けて積極的に動いてくれるわけでもありません。
弁護士であれば依頼者の代理人となり、あなたの残業代を回収するために、会社との交渉を行うことが可能です。残業代を請求するためには、証拠を揃えたり、未払いとなっている残業代を計算したりすることが必要ですが、こういったことについては全て弁護士の助言やサポートを受けられます。
また、交渉が上手くいかなかった場合、労働審判や訴訟などのステップに進む場合でも安心して任せることが可能です。
3 社内の相談窓口・労働組合
労働者数が多い会社の場合、社内に相談できる部署が設置されていることがあります。また、労働組合(ユニオン)がある場合は、労使交渉などを行ってくれます。
ただし、労働組合がない企業も多く、その場合は企業の外部の組合に相談する方法が考えられます。
4 労働条件相談ほっとライン
厚生労働省は、「労働条件相談ほっとライン」を開設しており、誰でも無料で電話相談ができます。匿名性も確保されているため、会社に知られずに相談することができます。
■相談可能時間
月~金:17:00~22:00 土・日・祝日:9:00~21:00
※12月29日~1月3日を除く
5 労働相談ホットライン(全労連)
全国労働組合総連合会(略称・全労連)は1989年に設立された労働組合の連合会です。多くの労働相談に広く対応するために労働相談ホットラインを用意しており、秘密厳守・相談無料で受付しています。
■相談可能時間
月~金:10:00~17:00 (地域によって異なっています)
※メール相談可能
6 総合労働コーナー
厚生労働省は「総合労働センター」も開設しています。職場のトラブルの相談に対応しており、未払い賃金や残業に関する相談も可能です。解決に向けた情報を提供してくれるため、まずは気軽な気持ちで誰かに相談したい時に、相談するといいでしょう。各都道府県労働局、全国の労働基準監督署内などの379か所に設置されています。
労働基準監督署に相談したら、残業代を払ってもらえるようになるのか?
労働に関する問題の相談先として「労働基準監督署」を真っ先にイメージする方も多いでしょう。では、労働基準監督署に未払い残業代の相談をしたら、残業代を回収できるでしょうか。
労働基準監督署は、相談内容をもとに会社の調査を行ったり、違法な状態が見つかれば指導や是正勧告を行ったりすることは可能です。そのため、調査や指導を受けて、会社が未払い残業代を支払ってくれる可能性はあるでしょう。
しかし、労働基準監督署の指導や是正勧告には強制力はありません。従わない場合は、刑事罰に処されますが、実際に刑事罰に処されるケースは多くはないため、労働基準監督署に従わない会社も存在するのです。
また、労働基準監督署は未払い残業代を強制的に回収できるわけでもありません。ご自身の未払い残業代を請求する場合は、会社への交渉や労働審判などが必要になりますが、これらは労働基準監督署では対応してくれないのです。
■労働基準監督署は未払い残業代を計算してくれる?
会社側に未払いの残業代を請求する場合には、その残業代がいくらになのか計算を行う必要があります。法的知識も要する未払い残業代の計算ですが、労働基準監督署は計算してはくれません。
労働基準監督署は、使用者側と労働者側の間に入り、紛争の解決に向けた仲介役を担ってくれるわけではない点を認識しておきましょう。
残業代の未払いを弁護士に相談するメリット
未払いとなっている残業代がある場合は、弁護士に相談することがおすすめです。では、弁護士に相談をするメリットとは、具体的にどのような点が挙げられるでしょうか。主なメリットは以下の3つです。
メリット1 残業代の計算を行ってくれる
未払い残業代を請求する場合は、労働者側から会社側に請求するために、正しい金額を計算する必要があります。
残業の証拠などに基づいて計算を行いますが、法的知識も要します。残業した日や時間帯によって、割増賃金も異なるためです。弁護士に依頼をすると、難解な計算も適切に行ってくれます。
メリット2 証拠集めなど法的なアドバイスがもらえる
未払い残業代の請求には、証拠が必要です。会社側が証拠を提供してくれない可能性もあるため、ご自身で集める必要があります。
弁護士に依頼すると、未払い残業代の請求に必要な証拠について、適切なアドバイスを受けられます。退職後であっても集められる証拠はあるので、まずは諦めずに弁護士に依頼することがおすすめです。
メリット3 法的手続きや会社との交渉を代わりにやってもらえる
先に触れたように、労働基準監督署は未払い残業代の相談は受けてくれますが、労働者一人ひとりに合わせて、未払い残業代の交渉や回収を行ってくれるわけではありません。弁護士に依頼すると、法的な手続きはもちろんのこと、会社との交渉も代理人として行ってくれます。
「上司と直接顔を合わせたくない」「必要な手続きがわからないから任せたい」という場合は、弁護士に依頼をすると手続き全般を任せることができるので、転職活動などにも集中できます。
残業代が不当に支払われていないケース
「自分にも未払い残業代があるかも」と感じていませんか。この章では、残業代が不当に支払われていないケースについて紹介します。
ケース1 定時でタイムカードを切らされている
定時になると、会社の指示でタイムカードを切っていませんか。その後も当然のように働き続けているなら、それはサービス残業です。未払い残業代が発生している可能性が高いでしょう。
ケース2 持ち帰り残業
会社から、家で仕事を片付けるようにと命じられていませんか。退勤後も自宅で仕事を続けるように言われているなら、未払い残業代が発生している可能性があります。ただし、持ち帰り残業の場合、労働をしたことの立証が難しく、請求には困難を伴うケースが多いです。
ケース3 会社が残業代を認めてくれない
「この会社は残業代を出さない方針だから」などと言われており、残業代が支払われないまま働いていませんか。法定労働時間を超えて働いているにもかかわらず、残業代が支払われていないなら違法であり、未払い残業代があるかもしれません。
これ以外にも、未払い残業代が発生している可能性があるケースは存在します。
詳しくは、こちらで解説していますので、ぜひご覧ください。
「残業をしても残業代が出ない…これって違法?それとも適法?」
まとめ
今回の記事では、残業代が支払われていない場合に頼れる相談先について、詳しく解説を行いました。いろんな機関が相談を受付していますが、未払い残業代の請求をご検討されている場合は、弁護士へのご依頼がおすすめです。
弁護士なら、未払い残業代はもちろんのこと、パワハラや不当解雇など幅広い労働問題にも対応でき、問題を解決へと導けます。まずはお気軽に弁護士法人勝浦総合法律事務所へご相談ください。
監修弁護士
執筆者:勝浦 敦嗣(かつうら あつし)
所属:第二東京弁護士会所属
-監修コメント-
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