「残業代請求を行いたいけど、どのぐらいの期間で解決できるのか」
「未払い残業代が発生している、会社には早急に支払ってほしい」

残業代が未払いとなっている場合、証拠を集めて交渉を行うことで解決できるケースがあります。しかし、解決までにどのぐらいの期間を要するのか、不安を感じる方もいるでしょう。

そこで、この記事では「残業代請求の解決期間」について、詳しく解決します。解決期間の目安はもちろんのこと、短くする方法なども紹介しますので、ぜひご一読ください。

未払い残業代を請求するステップ

未払い残業代の請求を検討されている場合、まずはスケジュールを知っておくことがおすすめです。未払い残業代の請求には、3つのステップがあります。

■ステップ1:交渉

会社側と直接交渉を行う方法です。交渉が難航したり、交渉ができそうにないと感じる企業が相手であったりする場合は、次のステップ2に移行します。

■ステップ2:労働審判

労働審判とは、労働問題を早期に解決するために運営されている裁判所での手続きのことです。一般的な民事裁判よりも早期に終わります。(原則期日は3回のみ)

■ステップ3:訴訟

労働審判が決裂した場合には、訴訟を行います。訴訟は労働審判を経なくても行うことが可能です。

では次に、それぞれの手続きの特徴について詳しく解説します。

会社と直接交渉する:1~2カ月

未払い残業代の請求は交渉から始まります。未払い残業代の証拠を確保し、未払い金額の計算を行った上で勤務先(もしくは元勤務先)に対して内容証明を送ります。返答があれば直接交渉で未払い残業代を求めます。交渉方法には以下の2つの方法が挙げられます。

・ご自身で交渉する
・弁護士に依頼し、弁護士が代理人として交渉する

会社との直接交渉はあくまでも任意のため、任意交渉とも呼ばれています。

■交渉期間の目安は1~2か月
会社との交渉期間の目安は1か月です。それ以上話し合いを重ねても着地点が見えないと判断した場合は、次のステップを検討しましょう。

労働審判を利用する:3~6カ月程度

交渉が難航した場合や、残業代を支払う姿勢が見られない場合、労働審判や訴訟に移行します。(交渉を経ずに労働審判を行うことも可能です。)

労働審判とは、2006年に導入された裁判所上での手続きです。一般的な民事訴訟よりも未払い残業代や解雇問題など、労働問題の早期解決を目指し、3~6か月程度で終了できるように運営されています。労働審判はご本人が出廷する必要がありますが、期日が3回までで終わるため、迅速な解決を求める方に適しています。話し合いでの解決を進めるものであり、難航したら訴訟を検討します。

■労働審判の期間の目安は3~6か月
労働審判での解決の目安は3~6か月程度です。

労働審判については、こちらで詳しく解説しています。
「残業代請求では「労働審判」と「裁判」、どちらがお勧め?」

訴訟を起こす:数か月~1年以上

労働審判が決裂した、あるいは労働審判をせずに訴訟を行う場合はどの程度の期間を要するでしょうか。

訴訟は労働審判よりも時間を要する場合があります。6カ月程度で終えられる場合もありますが、1年以上かかることもあり、ケースバイケースです。ただし、労働審判のように決裂で終わることはなく、和解もしくは判決で終わります。結果に不服がある場合は控訴、控訴後の訴訟でも不服があれば上告も可能です。

■訴訟の期間はケースバイケース
訴訟に移行しても、和解に終わる場合は労働審判のように早期解決できるケースがあります。一方で、とことん争うことで、満足のいく結果を求めることも可能です。控訴、上告までも含めると年単位で解決までの時間を要します。

残業代請求の解決までの期間を短くするには

未払いの残業代に関する問題は、上記のように手続き方法によって必要とされる期間が異なります。本来支払われているはずの残業代は、できる限り早期に支払ってほしいと思われる方が多いでしょう。

では、解決までの期間を短くするために、何か労働者側でできることはあるでしょうか。この章では期間を短縮するためにできる対策を、3つの視点から解説します。

1.交渉での合意を目指す

一般的に未払い残業代の請求は、会社への交渉からスタートします。任意交渉の段階で解決できるなら、当初から資料が揃っている場合などで早いケースでは約1か月で終えられます。ただし、早期に解決したい場合でも、交渉を必要以上に妥協し示談してしまうと、後悔する可能性があります。

また、強硬な姿勢で交渉に臨むと決裂する可能性もあるでしょう。解決を目指すためには、専門家とともに準備を重ねた上で解決を目指すことをおすすめします。

2.証拠を集める

未払い残業代の回収を短期間で成功に導くためには、「証拠を集める」という作業が不可欠です。残業代を会社側に求めるためには、証拠を集め、適切に未払い残業代を計算する必要があります。

残業代の立証責任は労働者側にあるため、慎重に証拠を集めた上で交渉に臨むことがおすすめです。また、証拠を集めることで「回収できる残業代が多くなる」可能性もあります。

とは言っても、お手元に証拠が全くない方もいらっしゃるでしょう。その場合でも、残業代を回収できる可能性はありますので、諦める必要はありません。「証拠が全くない」とお困りであれば、早めに弁護士へのご相談をご検討ください。

タイムカードがない方は、こちらも参考にしてください。
「タイムカードがない会社で残業代を請求する方法|違法性、代わりになる証拠を解説」

3.弁護士に相談する

未払い残業代を早期に解決するためには、上記で述べたように「交渉で解決を目指すこと」と「証拠を集めること」という2つの対策を行う必要があります。

しかし、一人で未払い残業代の請求を行おうとすると、交渉も証拠集めもご自身で行う必要があり、大変な負担です。そこで、未払い残業代の早期解決を目指すためには、弁護士への相談がおすすめです。弁護士に相談する主なメリットを3つご紹介します。

メリット1 交渉を一任できる

勤務先や、退職している会社に対して未払い残業代の交渉を行うことは大きな負担です。無理な残業を強いる組織の場合、パワハラが横行していることもあるでしょう。弁護士に依頼すると、交渉を一任できます。労働者にとって不利な条件で示談してしまう、という事態も避けられます。内容証明の作成なども全て任せることができ、安心です。心強いサポーターとして支えてくれます。

メリット2 証拠集めのサポートを受けられる

弁護士に相談すると、証拠集めのサポートも受けられます。どのような証拠が有益か、など相談を重ねながら残業代請求の準備ができます。

メリット3 労働審判・訴訟も対応できる

弁護士は裁判所の手続きを熟知しています。労働審判も訴訟もしっかりとサポートしてくれます。特に訴訟は弁護士ではないと対応が難しいため、交渉が難航しそうな場合には早期に弁護士への相談を開始しましょう。

残業代請求の解決期間に関するよくある疑問

残業代請求の解決期間には、以下に挙げる疑問が多く寄せられます。この章ではよくある疑問について紹介します。

Q1 残業代を請求しても解決するまでに時効が来てしまったら、どうなりますか?

未払い残業代の請求には時効があり、過去3年分の請求が可能です。請求に向けた動きが遅くなると、回収できない残業代が発生してしまう可能性があります。より確実に、未払い残業代を会社に求めるためには、早期に手続きを開始されることがおすすめです。

また、時効は「更新(中断)」や「時効の完成の猶予」という法的手続きで時効の進行を止めることが可能です。しかし、時効に関する手続きは複雑です。適切に手続きを進めるためにも、弁護士にご相談ください。

残業代の時効を止める方法については、こちらで詳しく解説しています。
「残業代の時効をリセットする方法「時効の中断(更新)」とは?」

Q2 解決までの時間が長いと弁護士費用も高くなりますか?

未払い残業代の請求を弁護士に依頼しようと思うと、費用が気になるのではないでしょうか。弁護士に依頼すると、着手金や報酬金などの費用が発生します。解決までの時間を要すると、その分費用が高くなっていく場合もありますが、完全成功報酬制の弁護士に依頼をすれば安心です。
解決までの期間は費用に関係しません。完全成功報酬制の場合、「回収できなければ弁護士費用0円」です。

弁護士費用については、こちらで詳しく解説しています。
「「残業代請求」弁護士費用の相場とは?他事務所と比較して見て下さい」

まとめ

この記事では「残業代請求の解決期間」について、解決期間を短くする方法も踏まえながら詳しく解説しました。

未払い残業代の請求を行う場合、さまざまな法律知識を要するため、弁護士に依頼することがおすすめです。また、費用にご不安がある場合は完全報酬制の弁護士に依頼をすれば、回収ができた時のみ、弁護士費用を支払えば良いため安心です。
複雑な手続きも多い未払い残業代に関するお悩みは、ぜひ勝浦総合法律事務所にご相談ください。

監修弁護士

勝浦 敦嗣(かつうら あつし)
執筆者:勝浦 敦嗣(かつうら あつし)
所属:第二東京弁護士会所属
-監修コメント-
「解決したはいいけど、費用の方が高くついた!」ということのないように、残業代請求については初期費用無料かつ完全成功報酬制となっております。成果がなければ弁護士報酬は0円です。お気軽にご相談ください。