「一生懸命残業したのに、会社が残業代を支払ってくれない」
「未払いとなっている残業代を請求したいけど、勤務先と気まずい関係になりたくない」

本来支払われるべきはずの残業代が会社側から払われず、悩んでいませんか。残業代請求は働いた対価として支払われるべきものですが、現在も働いている会社に対して請求を行おうと思うと、「気まずさ」を感じてしまう人もいます。

そこで、今回の記事は「残業代請求が気まずい」と感じている方に向けて、在職中に請求するメリットを中心に詳しく解説します。ぜひご一読ください。

残業代を請求することに気まずさを感じる必要はない

現在働いている会社が残業代を支払ってくれない…このような悩みを抱えている方もいるでしょう。納得はできないものの、会社側に残業代請求を行うと関係が悪化し、気まずくなってしまうのではないかと考えていませんか。在職中は上司や同僚の目も気になり、残業代が支払われていなくても我慢してしまう方は決して少なくありません。

しかし、在職中であっても残業代請求に気まずさを感じる必要はありません。労働の対価を請求することは当然の行為であり、労働者側が我慢を強いられる必要はないのです。

在職中でも未払い残業代を請求することは可能

今現在働いている会社に対して、未払い残業代を請求できるのか不安に感じる方もいます。しかし、未払い残業代が発生している以上、在職中であってももちろん請求することは可能です。

会社との関係に気まずさを感じたくないと思う方が多く、退職後に未払い残業代の請求を行う方が多いですが、実は在職中に未払い残業代を請求する「在職中ならでは」のメリットがあります。

在職中に未払い残業代を請求するメリット

在職中に未払い残業代を請求するメリットとは、具体的にどのような点でしょうか。主なメリットは2点あげられます。

メリット1 証拠集めを行いやすい

在職中は未払い残業代の証拠が集めやすいというメリットがあります。未払い残業代は労働者側で証拠を集め、未払いの残業代を計算する必要があります。もしも証拠が無かったら、会社側が未払い残業代の存在を認めない可能性があるためです。

在職中の場合、以下に挙げる証拠が退職後よりも集めやすいでしょう。少しでも多くの証拠を確保し、確実に未払い残業代の回収を目指しましょう。

【在職中だからこそ確保しやすい証拠の一例】
・タイムカード
・勤怠管理の記録や業務日報
・業務用メールの送信時間が分かる画面
・残業を指示する書面
・パソコンのログイン・ログアウト情報(労働時間が分かるため)

こうした記録は本来会社側が管理しているものであるため、在職中の方が集めやすいでしょう。タイムカード等の証拠は、写しでOKです。

メリット2 時効前に請求へと踏み出せる

未払い残業代の請求には時効があります。遡って請求する場合、「3年」(※1)という時効の壁があることを知っておきましょう。退職後に請求する場合、就職活動や新しい職場での業務に追われていると、時効を迎えてしまう残業代が発生するおそれがあります。

在職中に準備を開始することで、時効前に手続きを進められる可能性が高まります。

(※1)残業代請求の時効は2020年4月より2年から3年へと変わりました。

メリット3 労働環境の改善につながる

在職中に未払い残業代の請求を行う場合、労働者一人ではなく、複数名をまとめて交渉をすることも可能です。慢性的に多くの従業員に対して、残業代の未払いが発生している企業の場合、在職しながら交渉を行うことで、労働環境が改善される可能性もあります。

未払い残業代を回収しつつ、労働環境の改善も行えれば、以前よりも働きやすくなるでしょう。

在職中に未払い残業代を請求するデメリット

ご紹介したように、在職中に未払い残業代を請求することにはメリットがあります。では、デメリットはあるのでしょうか。

残業代の請求は、法律上の権利に基づいた正当なものです。しかし、在職中の会社に残業代を請求する場合、嫌がらせを受けたり、会社に居づらくなったりしてしまうリスクは否定できません。もちろん、残業代を請求したことを理由に、嫌がらせをされたり解雇されたりした場合、パワハラや不当解雇で更に争うことも可能です。
しかし、会社ともめること自体にストレスを覚える方は、やはり、残業代請求を退職まで待つというのが現実的かも知れません。

気まずくなりたくないのであれば退職後に請求する

「会社と気まずくなりたくない」でも「未払い残業代の請求はしたい」という場合、何か良い方法はあるのでしょうか。結論から言うと、会社と交渉をすることにストレスを感じる場合は、退職してから請求することがおすすめです。

しかし、先に触れたように会社に在職していた方が集められる証拠は確実に多いため、準備を行った上で退職をするようにしましょう。当事務所にご依頼いただく方も、大半の方は、退職後の請求となります。

また、時効が迫っている未払い残業代がある場合には、時効を迎えてしまうおそれもあります。時効の進行を止めるためには、「時効の更新」などの方法で対策を講じておく必要があるため、まずは弁護士にご相談ください。

会社側と直接交渉するのが気まずいのであれば、弁護士に依頼する

会社側に労働者側が直接未払い残業代を求める行為は、ハードルが高いと感じる人も多いでしょう。会社側と直接交渉をすることに気まずさがある場合は、弁護士に依頼することがおすすめです。依頼することで、以下2つのメリットが得られます。

1 交渉が不利にならない

一般的に未払い残業代の請求は、会社に対して直接交渉をするところから始まります。この時、労働者ご自身で会社側に未払い残業代を請求する場合、「個人」対「組織」の交渉となるため、労働者側が不利な立場となってしまう可能性が高いのです。

しかし、専門家である弁護士が代理人として付いているケースでは、労働者側に不利な交渉とはなりません。
当事者同士の話し合いでは、会社側が未払いの残業代はないと一方的に主張するなど、全く「交渉」にならないケースもあります。その点、弁護士が交渉を行えば、不当な主張をされる可能性は低くなります。

弁護士がついていれば、会社側が嫌がらせなどを行うことも稀と言えるでしょう。

2 残業代請求にかかる負担を減らせる

未払いの残業代を請求するには、事前に未払いの残業代の金額を計算したり、請求にあたっての法的な手続きを行ったりするなど、時間と手間がかかります。
弁護士に依頼することで、これらの請求のための準備や手続きを任せることができるのです。
そのため、請求にあたってのご自身の負担が減らせます。

また、弁護士は会社との交渉も行ってくれるため、残業代を請求したいけど会社との関係性が気になり躊躇ってしまう方は、弁護士に依頼することで精神的な負担も大幅に減らせるでしょう。

まとめ

未払い残業代の請求は労働者側の当然の権利であり、気まずさを感じる必要がありません。しかし、今勤めている会社と争う行為は避けたいというお気持ちもわかります。

そこで、早期解決を目指すためにもまずは弁護士に相談することがおすすめです。在職中の交渉も不利にならないように、弁護士がサポートします。まずはお気軽に、初回相談にお越しください。

監修弁護士

勝浦 敦嗣(かつうら あつし)
執筆者:勝浦 敦嗣(かつうら あつし)
所属:第二東京弁護士会所属
-監修コメント-
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