元同僚のドライバーの方2名からのご相談でした。月100時間前後の残業を行っていましたが残業代が払われていなかったとのことで,以前の勤務先に対して残業代請求をご希望でした。

当事務所に相談される前に,いったんは労基署に相談をしたが,労基署は強制力がないとのアドバイスをもらったため,弁護士に相談にいらっしゃったとのことです。

会社から開示された運転日報により日々の労働時間を明らかにして,各人約500万円の未払い残業代について,会社に残業代を請求しました。しかしながら,交渉段階では会社からは誠意ある回答が得られませんでした。

そこで,宇都宮地方裁判所栃木支部に裁判を提起した結果,当方の計算額どおりの勝訴判決(宇都宮地方裁判所栃木支部 平成29年12月14日判決)を得ることが出来ました。

なお,一部日報が保管されていなかった期間がありましたが,相談者がつけていたノートの記載が信用できるとしてそのまま判決でも採用されました。またノートもない期間については,他の期間の平均額での推定計算が認められました。

これから残業代請求を考えている方は,有効な証拠の取得方法,ノートの記載方法についてもアドバイスできますのでご連絡ください。

【判決の内容】

日報の開示がなかった月については原告が記録していたノートの記載から労働時間を算定することが相当である。

ノートも日報もない期間については,資料のある実計算期間における残業代の平均額をもって残業代を推定することが相当である。

支払われた給与がすべて基礎賃金であるという点について,被告の自白の成立を認め,その撤回を認めない。

勝訴判決獲得後も,相手方から任意の支払がなされなかったため,会社のメイン銀行の預金口座や主要取引先の運賃債権の差押えを行ったところ,相手方よりようやく満額の支払がなされ,無事解決に至りました。

【弁護士からのコメント】

1 支払を拒む会社への対処法

判決を得ても支払を拒む会社もありますが,そのような場合,判決に基づいて,預金や売掛金などの強制執行が可能となります。また,強制執行を辞さないという強い姿勢を見せることで相手方が観念して任意で支払ってくる場合もあります。

2 判決に基づく強制執行

判決を獲得した場合,会社の資産に対する強制執行が可能となります。会社の預金や資産がどこにあるのかを把握していると強制執行がしやすいので,できれば在職中にそのような情報が得られるのが理想的です。運送会社の場合,主要な取引先が分かればその運賃債権を差し押さえることも可能です。メイン銀行の口座や主要取引先の運賃債権の差押えまで行えば,本件のように,満額回収できることも珍しくありません。

当事務所の報酬体系は,回収できなければ報酬0円の完全成功報酬制となっております。判決を得ても回収できなければ報酬は発生しませんのでご安心ください。