会社への未払い残業代の請求を行うためには、様々な手続きが必要です。この手続きには法的な知識が必要であるため、多くの方は弁護士への依頼を検討することになるでしょう。

しかし、世の中に弁護士事務所は多数存在します。その中から、依頼する弁護士をどのように選べば良いのでしょうか。

今回は、残業代の請求手続きを依頼する弁護士の選び方について、詳しく解説します。

 

残業代請求を弁護士に依頼するメリット

会社への未払い残業代の請求手続きを弁護士に依頼することで、労働者は次のようなメリットを受けることができます。

・未払いの残業代の金額を正確に計算してくれる
・会社側に証拠の開示を請求できる
・代わりに会社と交渉してくれる
・精神的・時間的な負担を最小限にできる
・交渉が決裂しても、労働審判や訴訟も依頼できる

上記5つのメリットについて詳しくみていきましょう。

メリット1 未払いの残業代の金額を正確に計算してくれる

未払い残業代の請求では、まず「何時間分・いくらの残業代が支払われていないのか」を明確に算出する必要があります。

ただし、残業代の計算はやや複雑です。状況によって変わる割増率を用いながら、1日1日の残業代を算出していかなければなりません。この作業を計算に慣れていない人が行うのは大きな負担であり、計算ミスが起こる可能性があります。

弁護士に依頼すれば、労働者はこの複雑な計算を全て弁護士に任せることができます。残業代請求に慣れている弁護士であれば、正確でスピーディーに実際の残業代を算出することができるでしょう。

メリット2  会社側に証拠の開示を請求できる

弁護士は、残業の証拠集めもサポートします。
また、もし労働者自身の手元に残業の証拠がなく、会社がタイムカード等の証拠を保持している場合であれば、会社に対し開示請求を行い、証拠資料を開示させることも可能です。

労働者本人が開示請求を行なった場合、これに応じない会社は少なくありません。しかし、弁護士が法的知識にもとづいて手続きを行えば、会社が対応を変え、開示に応じる可能性が高まります。

メリット3 代わりに会社と交渉してくれる

未払い残業代の請求では、会社と交渉を行うことになります。
しかし、会社に在籍している場合でも、既に退職している場合でも、労働者にとって会社との直接交渉は大きな負担になるはずです。会社関係者と直接的に関わりたくない方や、交渉に対応できるか不安に感じる方は多いでしょう。

弁護士は、依頼者である労働者に代わって、会社と交渉を行うことができます。弁護士が代理交渉を行えば、労働者自身が交渉を行う必要はありません。
また、法的知識と経験にもとづいた弁護士の技術により、交渉がより有利に進む可能性も考えられます。

代理交渉を頼めるだけでなく、より有利な結果を導き出せる可能性が高い点は、弁護士に依頼する大きなメリットでしょう。

メリット4 精神的・時間的な負担を最小限にできる

個人で未払い残業代の請求を行おうとすると、その精神的・時間的負担は大きなものになります。しかし弁護士に依頼すれば、残業代の計算、証拠集め、書類準備、交渉など、全て任せることが可能です。

弁護士に未払い残業代請求を代行してもらうことにより負担が軽減されれば、労働者は転職活動に専念できるでしょう。

メリット5 交渉が決裂しても、労働審判や訴訟も依頼できる

会社との交渉が決裂した場合、労働者は労働審判や訴訟を申し立て、裁判で争うことになります。
これらの手続きを個人で行うのは困難ですが、弁護士に依頼していれば交渉決裂時の対応も任せることが可能です。

法的知識と経験に長けた弁護士が労働審判や訴訟の手続きを行えば、労働者にとってより有利な結果を得られる可能性も高くなるでしょう。

 

残業代請求を依頼する弁護士の選び方

未払い残業代の請求に成功するためには、依頼する弁護士の選び方も重要です。
弁護士選びでは、次の4点を重視するようにしましょう。

・残業代請求の解決実績が豊富である
・コミュニケーションが円滑で話しやすい
・費用を明確に説明してくれる
・依頼者の意向を尊重してくれる

各ポイントについて詳しくご説明します。

1 残業代請求の解決実績が豊富である

弁護士によって、得意分野は異なります。
未払い残業代の請求を弁護士に依頼する場合、労働問題を主に扱い、未払い残業代請求の解決実績が豊富な弁護士を選ぶようにしましょう。

実績豊富な弁護士であれば、その経験から、残業代請求を成功に導ける可能性は高くなります。

得意分野や実績については、弁護士事務所のホームページやコラムで確認することができます。
またその際、回収額実績に注目することも大切です。過去にいくらの請求に成功しているか確認の上、依頼するかどうかを決めましょう。

2 コミュニケーションが円滑にできて話しやすい

弁護士を選ぶ際には、弁護士のコミュニケーション力も重視する必要があります。

未払い残業代の請求では、依頼者である労働者と弁護士が密にコミュニケーションを取りながら、手続きの方針を決めていく必要があります。
もし弁護士のコミュニケーション能力が低く、依頼者の話を聞かないようであれば、依頼者の意向にもとづいた方針決めが困難となります。また、弁護士と話すこと自体が依頼者の負担となってしまうでしょう。

円滑で正確に、そして依頼者自身の負担なく請求手続きを進めるためには、コミュニケーション能力が高く、誠実に話を聞いてくれる弁護士を選ぶよう心掛けてください。

3 費用を明確に説明してくれる

「必要な弁護士費用について明確に提示し、その内容を説明してくれるかどうか」も、弁護士選びのポイントのひとつです。

弁護士費用は、相談料・着手金・成功報酬・手数料・実費等の項目から成り、その料金体系は弁護士事務所によって異なります。この料金体系の事前説明が曖昧であれば信頼して依頼することはできないでしょう。
依頼者は、費用を事前に明確に提示してくれる弁護士を選ぶべきです。

また、費用をなるべく抑えたい場合には、着手金無料・完全成功報酬型の弁護士事務所を選ぶのがおすすめです。着手金無料であれば、事前の金銭的な負担を抑えることができるためです。

4 依頼者の意向を尊重してくれる

「依頼者の意向を尊重してくれるかどうか」も、弁護士選びの重要なポイントです。

未払い残業代の請求では、依頼者が今後もその職場で働き続けるケースもあるでしょう。このような場合に弁護士が強引な手法で会社と交渉してしまえば、例え残業代の回収が成功したとしても、その後依頼者は職場に居づらくなってしまいます。

弁護士選びでは、自身の方針を押し付ける弁護士ではなく、依頼者の意向をしっかり汲み、手続きに反映してくれる弁護士を選ぶようにしましょう。

他方で、法的な観点からできないことはできないとしっかり説明できる弁護士であることも必要です。

 

残業代請求を依頼する際の弁護士費用

弁護士に依頼する際には、必要な費用を把握しておくことが大切です。
未払い残業代請求にあたっての弁護士費用には次の費用が含まれます。

【相談料】
依頼前に弁護士へ法律相談を行うための費用
1時間1万円程度が相場だが、初回は無料相談を受け付けている事務所もある

【着手金】
契約した弁護士が案件に着手する際に支払う費用
相場は20~30万円だが、着手金無料で引き受ける事務所もある

【成功報酬】
残業代請求に成功した場合に支払う費用
請求手続きによって依頼者が得た経済的利益の中から一定割合が支払われる

【手数料・実費】
書類の作成にかかる費用や交通費、印紙代、通信費等

上記は一般的な料金体系ですが、弁護士事務所によってこれらは異なります。依頼前には必ずその弁護士事務所の料金体系と具体的な費用を確認しておくようにしましょう。

勝浦総合法律事務所の料金体系は相談料0円、着手金0円でお引き受けしております。下記のリンクから、詳しい料金体系をご確認ください。

勝浦総合法律事務所の残業代請求の料金体系

 

残業代請求を弁護士に依頼する場合の流れ

未払い残業代請求を弁護士に依頼する場合、手続きは次のような流れで進みます。

1, 弁護士の情報収集・選定
2, 法律相談・面談の申し込み
3, 弁護士との法律相談・面談(ヒアリング)の実施
4, 弁護士との契約
5, 残業代計算・証拠集め
6, 会社との交渉
7, 労働裁判・訴訟(※交渉が決裂した場合)
8, 解決

情報収集を行い、依頼を検討したい弁護士を見つけたら、まずは相談・面談を申し込みます。この相談・面談を通して弁護士の人柄や実績を確認し、依頼するかどうかを決めるようにしましょう。実際の相談・面談で弁護士と合わないと感じた場合には、依頼契約をする必要はありません。
信頼できる弁護士を見つけたら、依頼契約をし、実際の残業代請求の手続きに進みます。

 

残業代請求を弁護士に依頼する際の注意点

未払い残業代の請求を弁護士に依頼する際には、次の点に注意しましょう。

注意点1 過度なキャッチコピーを使っている弁護士事務所は要注意

弁護士事務所の広告には、日弁連の「弁護士の業務広告に関する規定」が適用されます。過度なキャッチコピー(「常勝する弁護士」等)は、この規定に反するおそれがあります。
規定に反した広告を打ち、利益を追求している弁護士事務所への依頼は、避けた方が良いでしょう。

注意点2 口コミを参考にしつつ信じすぎない

弁護士への依頼にあたっては、口コミを調べる人も多いでしょう。確かに口コミは、情報収集手段のひとつです。

とはいえ、口コミはあくまで個人の感想です。中には、必要以上に批判する口コミもあるでしょう。

法律事務所の口コミには、大きく分けて3種類の口コミがあります。

①実際に依頼した人からの口コミ

②依頼を断られた人からの口コミ、

③(①や②を装っているが)それ以外の人(事件の相手方や第三者)からの嫌がらせ的な口コミ

上記の3種類があります。どの口コミに当たるのかを意識すると、より参考にしやすいと思います。

他方、5つ星ばかりの口コミが並ぶのも不自然さを感じます。当事務所にも、☆5の口コミを買いませんかという恐ろしい営業がたまに来ます

弁護士選びでは、口コミを参考にしつつ左右され過ぎないことが大切です。無料相談等を利用してなるべく直接弁護士と話し、その人柄や実績を自分で見定めるようにしましょう。

注意点3 赤字にならないように費用を確認する

赤字にならないようにするためにも、弁護士費用の確認は念入りに行うようにしましょう。

特に、着手金有りの場合は注意が必要です。案件への着手時に支払う着手金は、依頼者自身が支払わなければなりません。着手金は基本的に返還されないため、請求に失敗した場合には、依頼者は赤字になってしまいます。

着手金なしの完全成功報酬型の弁護士事務所であれば、支払いは請求成功時のみです。しかも、費用は請求によって得た経済的利益の中から支払われます。
つまり、依頼者の金銭的負担とリスクを低減することができるのです。

注意点4 弁護士費用は会社に請求することはできない

もし残業代の請求に成功したとしても、そのためにかかった弁護士費用を会社に請求することはできません。
未払い残業代請求の弁護士費用は、あくまで依頼者側で支払うものです。よって、弁護士費用がいくらかかるのか事前にしっかり把握しておくことは非常に重要です。

 

まとめ

未払い残業代の請求を弁護士に依頼することにより、依頼者である労働者は多くのメリットを得ることができます。
しかしこのメリットを得て、残業代請求を成功させるためには、弁護士選びが重要です。「どの弁護士に依頼するか」は、弁護士の実績や人柄、費用をよく確認した上で決めるようにしましょう。
弁護士を選ぶにあたっては、いくつかの事務所で相談を受けて、比較してみるのもよいと思います。また、依頼した弁護士の対応に不安が生じた場合は、他の事務所でセカンドオピニオンを聞いてみてもよいでしょう。

勝浦総合法律事務所では未払い残業代請求の交渉・訴訟を、初期費用0円の完全成功報酬制で取り扱っております。ぜひ無料相談からお申し込みください。

監修弁護士

勝浦 敦嗣(かつうら あつし)
執筆者:勝浦 敦嗣(かつうら あつし)
所属:第二東京弁護士会所属
-監修コメント-
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