残業がない会社が「ホワイト」と呼ばれるほど、多くの会社では残業を必要としています。しかし、あまり長時間働くと体にも影響が出てしまいますね。
実際に残業が多いのはどのような業種なのでしょうか。また、残業をするにあたり気を付けることはあるのでしょうか。
1. 残業が多い業種・職種の傾向
残業が多い職種として、まず、メディア関係が挙げられるでしょう。世の中の動向に機敏に対応する必要があるからです。確かに、広告代理店や記者の方は、夜遅くまで働いているイメージがありますね。
また、「24時間営業」の職種も残業が多い傾向にあります。例えば、コンビニや外食チェーン。建物の管理などがこれにあたります。このような職種は、業務の性質上、長時間職場にいることを強いられるので、残業時間も長くなるのです。
残業が多い順番 | 業種大分類 | 業種小分類 | 年間休日日数が多い順番 | |
---|---|---|---|---|
多い順 | 時間 | |||
1位 | 49.1 | メディア | 広告 | 49位 |
2位 | 40.9 | メディア | 新聞 | 40位 |
3位 | 36.5 | IT | EC/ポータル/ASP | 15位 |
4位 | 36.3 | 小売/外食 | コンビニエンスストア | 80位 |
5位 | 35.8 | サービス | 建物管理/安全作業 | 45位 |
6位 | 35.5 | IT | コンサルティングファーム/シンクタンク | 63位 |
7位 | 34.7 | メディア | 印刷関連 | 42位 |
8位 | 33.2 | 建設/不動産 | ディベロッパー | 52位 |
9位 | 33 | メーカー | 通信/ネットワーク機器メーカー | 9位 |
10位 | 32.6 | 小売/外食 | 外食/レストラン | 79位 |
2. 36協定とは?
36(サブロク)協定とは、労働基準法36条に定められた協定(使用者と労働者の約束)のことを指します。この協定がなければ、使用者は法定労働時間を超える労働(時間外労働)や、法定休日における労働(休日労働)をさせることができません。
使用者は労働者との間で36協定を結ぶにあたり、あらかじめ「○時間まで残業させる」という取り決めをしておきます。これにより、残業は36協定の限度内でしかできなくなります。
ただし、気をつけなければならないのが「特別条項付き36協定」の存在です。これは、予算・決算期やバーゲンなど、あらかじめ残業時間を延長したい場合に備えて結ぶ協定になります。特別条項付き36協定が結ばれている場合、残業時間がかなり長くなることが予想されますので、注意しましょう。
3. 厚生労働省が定めた過労死ライン
厚生労働省は、過労死のリスクが高まる労働時間を公表しています。この基準は、脳卒中などで死亡し、過労死が疑われるときに、労働と過労死の間に因果関係があったかを調べるときに使います。
具体的な基準は以下のとおりです。
1か月あたりの時間外労働時間 | 業務と発症との関連性 |
---|---|
発症前1~6か月間にわたりだいたい45時間以内 | 関連性が弱い |
発症前1~6か月間にわたりだいたい45時間を超える | 関連性が徐々に強まる |
100時間を超える、または、2~6か月間にわたりだいたい80時間を超える | 関連性が強い |
深刻な病気にならないためにも、過度の残業は避けましょうね。
4. 残業が多く体調不良で退職する際に注意すべきこと
体調不良での休職は、基本的に自己都合扱いになります。この場合、失業保険が「一般離職者」という区分になり、失業保険期間が短くなってしまいます。
しかし、長時間の残業が退職の理由となっている場合は,自分から退職を選んだとしても「会社都合」での退職とすることができる場合があります(離職の直前6か月間で,連続3か月で45時間以上の残業があった場合など)。自己都合にしたくない場合は、きちんと会社と話し合いましょう。会社が会社都合を認めない場合にも,長時間労働の証拠を用意してハローワークで相談してみてください。
また、万が一自己都合での退職になったとしても、長時間労働で体調が悪くなったことを申告すれば、「特定理由離職者」と認めてもらえることがあります。失業保険の給付申請の際には必ず確認してください。