当社は年俸制ですから残業代は出ません……」そんな説明を行う会社が散見されます。しかしながら、年俸制と残業代の有無は本来無関係です。
管理監督者や裁量労働制など労働基準法の厳しい要件をクリアする一部の社員に年俸制を導入する場合は、残業代が出ないという扱いが可能です(これは、管理監督者や裁量労働制の効果であり、年俸制とは無関係です)。 一般の社員に年俸制が導入されたとしても、残業代請求は通常どおり可能なのです。
なお、年収7000万円以上にもなる外資系金融機関の年俸制社員について、残業代はすでに支払われていると解釈した裁判例はありますが(モルガンスタンレージャパン事件 東京地裁平成17年10月19日)、これはごくごく特殊なケースに過ぎません。