会社には、従業員の労働時間を適正に把握・管理する義務があります。

労働時間の管理には、タイムカードや勤怠システムを利用している職場が多いでしょう。

しかし中には、タイムカードや勤怠データを改ざんされ、実際より短い労働時間で記録されてしまうケースがあります。その結果、残業代が本来より少なく支払われることがあります。

今回は、会社側にタイムカードや勤怠データを改ざんされた場合の違法性と、相談・申告の手順について解説します。

 

違法となる可能性がある改ざんのパターン

タイムカードや勤怠データの改ざんで違法となり得る主なパターンは、次の3つです。

①タイムカードや勤怠データを直接書き換えられる

まず挙げられるのが、会社がタイムカードや勤怠データを直接書き換えるパターンです。具体例を見てみましょう。

  • 会社が残業代の支払いを避けるため、タイムカードを書き換えていた。
  • 上司が、自分しか使えない修正機能を使って勤怠データを修正し、従業員のデータ上の労働時間を削っている
  • 勤怠データを確認すると、残業時間の上限を超えた分が、翌月の残業時間として処理されていた。

このように、残業代の支払いを抑えたり長時間労働の実態を隠したりする目的で、会社や上司がタイムカードや勤怠データを直接書き換えるケースは多くあります。

ただし、この書き換え行為は違法です。

改ざんにより適切な賃金を支払わなかった場合には「労働基準法第37条 時間外、休日及び深夜の割増賃金」に違反するとして、会社に30万円以下の罰金が課せられる可能性があります。

②勤怠システム上の都合で切り捨てられる

勤怠システムの都合で労働時間が切り捨てられ、キリの良い数字にされてしまうパターンもよくあります。具体例を見てみましょう。

  • 残業時間が30分毎しか申請できず、1〜29分の残業時間がなかったことになる
  • アルバイトで17:50にタイムカードを押して働き出したのに、18:00出勤として給与計算をされてしまった
  • タイムカードを押したのが18:02でも18:00退勤にされてしまうなど、数分の労働時間が切り捨てられている

このように、勤怠システムの都合や給与計算のしやすさの点から、タイムカードや勤怠データの端数が切り捨てられ、実際の労働時間よりも少なく見積もられてしまう例は少なくありません。

しかし、労働時間は1分単位で管理することが原則です。会社が、実際の労働時間を15分・30分単位で切り捨てたりキリの良い時間になるよう調整したりしている場合、労働基準法に違反している可能性があります。

一方で、1か月分の労働時間を集計した結果、30分未満を切り捨てる代わりに、30分以上を切り上げるという処理を行うことは認められています。たとえば、月の時間外労働の合計が20時間20分だった場合、この20分を賃金計算上切り捨てることは認められています(その場合、20時間40分の場合は21時間に切り上げることとなります)。

詳しくは厚生労働省の「賃金計算の端数の取扱い」をご覧ください。

③「打刻忘れ」「事前申請なし」の残業をすべてなかったことにする

就業規則で残業の事前申請を求めている会社は多くあります。

しかし、従業員が打刻を忘れたり、残業の事前申請をしないまま残業したりした場合に、事後の申請を認めず、残業そのものを認めない扱いとする例も見られます。

会社や上司の指示を受けた残業ややむを得ない状況での残業は、残業時間としてきちんと管理されるべきです。

タイムカードや勤怠システムの打刻忘れや残業の事前申告漏れがあったとしても、会社は従業員に対し、実際の残業時間に基づいた賃金を支払わなければなりません。

 

違法性がある場合は労働基準監督署へ相談・申告を

タイムカードや勤怠データの扱いについて、会社の対応に違法性がある場合は、労働基準監督署への相談や申告を検討しましょう。

労働基準監督署は、労働基準法などの関係法令に基づき、事業場に対する監督指導を行う行政機関です。

全国にある労働基準監督署には相談窓口があり、労働者からの相談を受けつけています。

 

タイムカードや勤怠データの扱いは労働基準法に関わるため、労働基準監督署へ相談や申告を行うことができます。

申告や相談を契機に調査が行われ、法令違反が認められた場合には、労働基準監督署が行政指導や是正勧告を行うことがあります。

これにより、会社のタイムカードや勤怠データの扱いが見直される可能性があります。

 

ただし、労働基準監督署が直ちに対応するとは限らず、未払い残業代の回収を直接行う機関でもありません。

また、相談・通報にあたっては労働者側で証拠を用意する必要がある点にも注意が必要です。

 

誰が相談したかバレない?

労働基準監督署の職員には、守秘義務が課せられています。したがって、労働基準監督署へ相談・通報したことが会社や上司にバレることは基本的にありません。

また、通報自体を匿名で行うことも可能です。

ただし、通報者自身が周囲に労基へ通報したことを話してしまうと、そこから話が広まってしまう可能性はあります。相談・通報の事実はなるべく口外しないほうがよいでしょう。

もっとも、労働基準監督署へ相談・通報したことを理由に従業員に対し不当な扱いをすることは、法律で禁じられています。

もし不当な扱いを受けることがあれば、速やかに労働基準監督署または弁護士に相談することをおすすめします。

 

労基へ告発する手順

会社の違法行為について労働基準監督署へ相談・申告する際は、次の流れで進めます。

①労基に動いてもらうための証拠収集

労働基準監督署に相談・申告する際は、会社の違法行為を裏づける証拠があると有効です。

実際の労働時間と、会社が勤怠上記録している労働時間に差があることを示す証拠を集めましょう。

例えば、Googleマップのタイムラインデータやパソコンのログ、業務メールの送信履歴、業務日誌などは、実際の労働時間を示す証拠になります。これらの資料と改ざん後の勤怠データを組み合わせることで、労働時間の改ざんを裏づけられる可能性があります。

また、改ざん前後のタイムカードを写真に撮っておくのも一つの方法でしょう。

②管轄の労基を調べて申告

証拠が集まったら、職場を管轄する労働基準監督署へ相談や申告を行います。

相談は面談や電話で行うことができ、違反が疑われる事業場に関する情報提供はメール窓口でも受け付けられています。

労働基準関係情報メール窓口

全国の労働基準監督署は、厚生労働省「都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧」からご確認ください。

 

労基へ相談するときの注意点

労働基準監督署への相談にあたっては、対応可能な範囲が限られる点に注意が必要です。

労働基準監督署が行うのは、法律に違反している会社の指導や是正勧告にとどまり、その是正勧告にも強制力はありません。そのため、必ず職場環境が改善されるわけではないこと、個々の従業員が被った不利益を解消してくれるわけではないことを理解しておく必要があります。

未払い残業代を回収するなど、個々の不利益を解消したい場合には、労働基準監督署ではなく弁護士に相談することを検討しましょう。

弁護士は、依頼者のために個別の案件に対応することができます。証拠集めはもちろん、会社との交渉や労働審判、訴訟まで対応し、未払い残業代や損害賠償を請求することが可能です。

労働問題は、自分の希望に応じて、相談先を正しく選ぶようにしましょう。

 

弊所で対応できる未払い賃金請求

勝浦総合法律事務所では、未払い賃金請求のご依頼を承っております。

弊所では、以下のような手続きに対応し、ご依頼者さまの総合的なサポートを行います。

①タイムカード・勤怠データの代わりとなる証拠の収集

労働基準監督署へ相談するにも、未払い残業代を請求するにも、実際の労働時間を示す証拠が必要です。

もしタイムカードや勤怠データが改ざんされている場合、資料として参考になりません。

そのため、代わりとなる証拠を集める必要があります。

この証拠収集は簡単なものではありません。会社が資料を保管している場合もあるため、依頼者が自分だけで証拠を集めるのは、非常に困難です。

弊所では、証拠の収集を代理で行います。会社が保管している資料については、文書提出命令などの法的手続きを通じて取得できる場合があります。

②会社との交渉・労働審判・訴訟

証拠を収集した後は、交渉による解決を目指します。

交渉段階では、依頼者ご本人が会社と直接やり取りを行う必要はなく、すべて当事務所が代理します。

万が一、交渉で解決に至らない場合には、依頼者とご相談の上、労働審判または訴訟へ移行することがあります。

労働審判では、裁判官および労働問題に精通した審判員が関与し、原則として3回以内の期日で、比較的短期間での解決を目指します。

一方、訴訟では、法廷において双方の主張および証拠を慎重に審理するため、解決までに半年から1年程度を要するのが一般的です。

なお、訴訟に進んだ場合であっても、手続対応はすべて当事務所が行いますので、原則として依頼者が出廷する必要はありません。(証人尋問のため出廷いただくこともありますが、稀なケースです。)

このように、請求における煩雑な手続きに関しては、当事務所にお任せいただけます。

 

無料相談も受け付けております

「タイムカードを改ざんされて残業代を受け取れなかった」「労働時間の一部を切り捨てられて、本来よりも少ない残業代しか支給されない」など、未払い残業代にお悩みの方は、勝浦総合法律事務所へお任せください。粘り強く会社側と交渉を行い、あなたの未払い残業代を回収します。

 

弊所は、年間約13億円(令和7年)もの未払い残業代回収実績があるため、安心してご依頼いただけます。

料金は完全成功報酬制(初回相談料・着手金0円)なので、費用倒れを気にする必要はありません。

何かご不明な点、ご質問などがありましたら、お気軽に無料相談をご利用ください。

 

勝浦総合法律事務所・残業代請求ページ:https://katsuura-law.com/zangyo-dai/

残業代に関する無料相談フォーム:https://katsuura-law.com/zangyo-dai/contact.html

監修弁護士

勝浦 敦嗣(かつうら あつし)
執筆者:勝浦 敦嗣(かつうら あつし)
所属:第二東京弁護士会所属
-監修コメント-
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