「きちんとした指導もされていないのに能力不足を理由に解雇された」「ささいなミスをしただけなのに、会社から懲戒解雇を言い渡された」「上司に嫌われたことで整理解雇の対象になった」など、納得のいかない解雇にお悩みではないでしょうか。

労働契約法16条は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています。法的に見て合理的な理由のない解雇や社会的相当性のない解雇は、「不当解雇」として、無効にできるのです。

従業員からの訴訟により不当解雇が認められれば、会社側は金銭的・社会的なダメージを負うことになります。
では、具体的に会社はどのような影響を受けるのでしょうか。

 

今回は、訴訟で不当解雇が認められた場合に会社が受ける影響・ダメージについて、わかりやすく解説します。

 

不当解雇のバックペイ+未払い残業代で700万円を回収した事例

まずは、勝浦総合法律事務所がお引き受けし、不当解雇のバックペイ請求に成功した事例をご紹介します。

長距離運転手として働いていた40代の男性から、不当解雇と未払い残業代についてご相談を受けました。

・労災による治療中であるにもかかわらず、会社から一方的に解雇されてしまった
・会社は固定残業代制度を導入していたが、適法なものとはいえず残業代の未払が発生していた

上記の点から、不当解雇の無効確認(地位確認)とバックペイの請求、未払い残業代の支払いを求め、弊所弁護士が会社側と交渉を行いましたが会社側がこれに応じなかったため、提訴しました。
会社側にも弁護士が付き、交渉を重ねた結果、会社はバックペイおよび未払い残業代に加え、解決金の支払いに合意し、合計で700万円の回収に成功しました。

このように、不当解雇を受けた場合、労働者は会社にバックペイをはじめとした様々な金銭を請求できる可能性があります。

 

会社に請求する金銭の例

不当解雇を受けた場合、労働者は会社に以下のような金銭を請求できることがあります。

①バックペイ
②慰謝料
③退職に応じる解決金
④未払い賃金・残業代

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

①バックペイ

訴訟等で不当解雇が認められた場合には、会社は、労働者を”解雇”してから和解・復職までの間に支払っていなかった賃金を、遡って支払わなければなりません。これを「バックペイ」と呼びます。

不当解雇であるということは、正式な解雇とは言えません。つまり「今も会社に雇用されている状態」ということになります。
会社に雇用されているのだから、賃金が支払われていなければおかしいという理屈です。

バックペイの金額は、解決までの期間が長くなるほど大きくなり、500万円や1000万円を超えるケースもよく見られます(弊所ではバックペイが4000万円を超えたケースもあります)。

例えば、解雇から半年後に交渉や訴訟にて不当解雇が認められた場合には半年分のバックペイが発生しますし、それが3年後であった場合には3年分のバックペイが発生します。
問題が長引くほどバックペイの金額が大きくなることは、会社側にとってもプレッシャーになると考えられます。

 

②慰謝料

不当解雇についての会社の違法性が高く、従業員の精神的苦痛がバックペイで補填できないレベルである場合、精神的苦痛に対する慰謝料の請求が認められる場合があります。

ただ、慰謝料請求まで認められるのは不当解雇の中でも例外的な場合であり、通常の事案では慰謝料請求までは困難です。

 

③退職に応じる解決金

不当解雇であることが認められた場合、解雇は無効となりますので、会社の従業員として復職できることとなります。

会社としては、一旦解雇した従業員がまた復職してくるのは社内に説明しにくいという事情もあり、できれば復職を避けたいと考えることも多くあります。

その場合、復職を諦める代わりに、さらに解決金を増額することが可能な場合も多いです。

 

④未払い賃金・残業代

解雇までの期間に未払い賃金・未払い残業代がある場合には、それも会社に請求することができます。

職場によっては、サービス残業が当たり前になっていたり、会社の独自ルールで一部の残業代しか支払われていなかったりするケースもあるようですが、このようなことは労働基準法では認められていません。

未払い賃金・残業代は、3年の時効内(※2026年2月現在)であれば、過去に遡って会社に請求することができます。

 

訴訟は会社のイメージダウンにつながる?

不当解雇による訴訟がニュースなどで報道されれば、会社のイメージダウンにつながることがあります。

たとえば、新人採用や営業活動、既存顧客との関係維持において、マイナスの影響が生じることもあるでしょう。

 

このことから不当解雇であることが明らかな場合、会社は大ごとになるのを避けたいと考えるのが通常です。
労働者側が適切に交渉を進めれば、訴訟に至らなくても、解雇の無効を認めさせたり、相応の金銭の支払いを受けたりする内容で、交渉段階で和解できる可能性があります。

 

他の従業員に連鎖することも

不当解雇や未払い残業代についての訴えは、他の従業員に連鎖することもあります。

あなたが会社に対し訴訟を起こし、解雇取り消しや未払い残業代の回収に成功した場合、他の従業員が「自分も何か法的に争えるのではないか」と考えるのは自然でしょう。

 

勝浦総合法律事務所でも運送会社への残業代請求を扱った際、ドライバーの同僚5名からの依頼を受け、裁判を起こした経験があります。結果的にこの事案では和解が成立し、5名で約7000万円の残業代を獲得しました。

このような連鎖は、会社としては避けたいところです。他の従業員への波及をおそれ、大ごとになる前に円滑な解決を図る会社も少なくありません。

 

裁判費用は会社に請求できる?

残念ながら、裁判費用を会社に請求することはできません。
不当解雇に関する裁判では、原則として、訴えを起こした労働者側が裁判費用を負担します。

 

解雇が無効となれば、必ず復職しなければならない?

「解雇の無効が認められたら、会社に戻らなければならないのか」と不安に思う方も多いでしょう。
法律上、解雇が無効となれば、解雇は最初からなかったものとして扱われるため、労働契約は継続していることになります。そのため、復職も可能です。

もっとも、実際には会社側との話し合いにより、復職せずに退職する形で解決するケースが多いです。
その場合は、会社から解決金の支払いを受けて合意するのが一般的です。

 

訴訟を検討している方は弁護士へ相談を

不当解雇や残業代の不払いでお悩みの方は、まず弁護士への相談を検討しましょう。

法的な観点から「解雇を無効にできるか」「金銭を請求できるか」のアドバイスを受けることで、今後の方針を立てやすくなります。

 

勝浦総合法律事務所では、不当解雇や未払い残業代請求などのご相談・ご依頼を受け付けています。

「不当解雇に対するバックペイ」と「未払い残業代」を並行して請求する、といったご依頼も承ります。

相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

 

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監修弁護士

勝浦 敦嗣(かつうら あつし)
執筆者:勝浦 敦嗣(かつうら あつし)
所属:第二東京弁護士会所属
-監修コメント-
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