外資系企業にお勤めの方でも、日本企業と同様、残業代請求が可能です。
以下では、外資系企業から反論されがちな論点についてご説明します。
1 年俸制だから残業代が生じない?
外資系企業の場合、年俸制が採用されている場合が多いですが、「年俸制だから残業代は生じない」という誤った理解をしている方もいらっしゃいます。しかしながら、もちろん、年俸制であっても残業代請求は可能です。
この点は全く心配はいりません。
2 管理監督者だから残業代が生じない
外資系企業に限りませんが、一定以上の職位にある方の場合、会社から、管理監督者であるから残業代が生じないとの反論がなされることが多いです。特に、外資系社員で平均よりも高額な収入を得ている場合はそのような反論がされがちです。
管理監督者かどうかというのは、業務権限、経営会議への参加の有無、人事に関する権限、年収、社内のヒエラルキーの上位何%に位置するか、などといった判断要素から総合的に判断されます。単に役職がマネジャーだから、などという理由だけでは管理監督者とは認められません。
管理監督者と認められるのは、名実ともに経営サイドに位置する上位社員に限られます。日本企業でいえば、係長はほぼ確実に管理監督者ではありません。課長もまず管理監督者にはあたらないでしょう。次長も大丈夫、部長もまあ大丈夫じゃないか、というのが私の感覚です(もちろん、実態によりますので、必ずではありませんが)。
「管理監督者だから…」と会社に反論されても、それだけで諦める必要は全くありません。
外資系勤務の方の未払い残業代の解決事例
外資系コンサルタント
英系コンサルティングファームにお勤めだった女性からのご依頼でした。相手方からは、管理監督者に該当する、固定残業代が支給されているなどの主張がなされましたが、丁寧に反論し交渉した結果、ほぼ請求額満額の500万円を受領することができました。ご依頼から2か月ほどでのスピード解決となりました。
外資系金融機関
外資系金融機関にお勤めだった方からのご依頼でした。交渉では妥結しなかったため、労働審判を申し立てた結果480万円を受領する和解が成立しました。
外資系メーカー
直行直帰が中心の外回り営業職だったため、事業場外みなし労働時間制であるとの主張がなされました。訴訟において180万円を獲得する和解が成立しました。